神戸元町労務管理サポート 社会保険労務士 角森洋子(元労働基準監督官)による就業規則作成、変更支援

労働時間の適正な管理〜是正勧告されないために

平成24年度に監督指導により支払われた割増賃金の合計額は、約146億円

このような賃金不払残業(サービス残業)をあらため、労働者の健康を維持し、かつ企業の経営を発展させるためにも適正に労働時間が把握される必要があります。

また、賃金不払残業が行われることのない企業にしていくためには、単に使用者による労働時間の適正な把握にに止まらず、職場風土の改革、適正な労働時間の管理を行うためのシステムの整備、責任体制の明確化とチェック体制の整備等を通じて、労働時間の管理の適正化を図る必要があり、このような点に関する労使の主体的な取組を通じて、初めて賃金不払残業の解消が図られるものです。

労働時間と就業規則

労働時間と健康管理(安全配慮義務)

労働時間の適性な把握のために使用者が講ずべき措置につい

賃金不払残業の解消を図るための措置等に関する指針(一部

1 労働時間とは何か

労働基準法32条には労働時間の定義がない。

労働時間(「労基法上の労働時間」)は、客観的にみて、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価できるか否かにより決まる。就業規則や労働協約、労働契約等で、特定の行為(実作業のための準備行為など)を労働時間に含めないと定めても、これらの規定には左右されない。

「労働させ」の意味
・ 一般的に使用者の指揮監督のもとにあることをいう。必ずしも現実に精神又は肉体を活動させていることを要件とはしない。
・ 休憩時労働時間か否かについての行政解釈間との違いからみれば、「自由利用が保障されているか否か」である。
・ 教育、研修への参加時間については、「就業規則上の制裁等の不利益な取り扱いの有無」、「内容と業務の関連性の強弱」、「不参加により業務に具体的な支障が生ずるか否か」等の観点から出席の強制があるかないか

労働時間か否かについての行政解釈

1 手待時間  手待時間は労働時間である。
○一部の貨物取扱い事業場において、貨物積込係が、貨物自動車の到着を待機して身体を休めている場合、
○運転手が2名乗り込んで、交替で運転に当たる場合において、運転しない者が助手席で休息し、又は仮眠しているときであっても
それは「労働」であり、その状態にある時間(これを一般に「手待時間」という。)は、労働時間である。
(昭33.10.11 基収6286号)
2 昼食休憩時間中の来客当番 昼食休憩時間中に来客当番をさせれば、その時間は、実際に来客がなくても労働時間である。
(昭23.4.7 基収6288、昭63.3.14基発150)
3 研修時間  以下の要件により実質的にみて出席の強制があるか否かで判断する。
・出席しないことについての不利益取扱いの有無
・不参加による本人の業務の支障の有無
・不参加による本人の業務の支障の有無
「使用者の実施する教育に参加することについて、就業規則上の制裁等の不利益取扱いによる出席の強制がなく自由参加のものであれば、時間外労働にならない。」(昭26.1.20基収2875 平11.3.31基発168)
4 小集団活動 研修時間の解釈例規と同じ
5 安全衛生教育の時間  「労働安全衛生法59条および60条の安全衛生教育は、労働者がその業務に従事する場合の労働災害の防止をはかるため、事業場の責任において実施されなければならないものであり、(中略)安全衛生教育の実施に要する時間は労働時間とされる。」(昭47.9.18基発602)
6 安全衛生委員会の時間 安全衛生委員会の会議の時間は労働時間である。(昭47.9.18基発602)
7 長距離トラックのフェリー利用時間 乗船中の2時間は拘束時間として取り扱い、それ以外は休息期間として扱う。
8 一般健康診断 健康診断の受診に要した時間についての賃金の支払いについては、労働者一般を対象とする一般健康 診断は、一般的な健康の確保を図ることを目的として事業者にその実施を義務づけたものであり、業務 遂行との関連において行われるものではないので、その受診に要した時間については、当然には事業者 の負担すべきものではなく、労使協議して定めるべきものであるが、労働者の健康の確保は、事業の円 滑な運営の不可欠な条件であることを考えると、その受診に要した時間の賃金を事業者が支払うことが 望ましい。 (昭47.9.18基発602)
9 特殊健康診断 事業の遂行にからんで当然実施されなければならない性格のものであり、それは所定労働時間内に行われることを原則とする。また、特殊健康診断の実施に要する時間は労働時間と解さ
れるため、当該健康診断が時間外に行われた場合には、当然に割増賃金を支払わなければならない (昭47.9.18基発602)
10 休日の移動時間 出張中の休日はその日に旅行する等の場合であっても、旅行中における物品の監視等別段の指示がある場合の外は休日労働として取り扱わなくても差し支えない。(昭23.3.17基発461,昭33.2.13基発90))

 

判例にみる労働時間


(1) 作業前の準備、作業後の後始末、掃除等
使用者の指揮監督のもとにあるか否かは、明示的なもの(はっきり指示している)である必要はなく、黙示でも労働時間となる。また、作業時間のほかに、作業前の準備や作業後の後始末、掃除等が使用者の明示だけでなく黙示の指揮命令下に行われている場合であってもそれらは労働時間となる。

三菱重工業長崎造船所(作業服着替え時間)事件(平12)

(概要)
・ 労働基準法(昭和六二年法律第九九号による改正前のもの)32条の労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい、右の労働時間に該当するか否かは、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるものであって、労働契約、就業規則、労働協約等の定めのいかんにより決定されるべきものではないと解するのが相当であるとするもの。
・ 労働者が業務の準備行為を事業所内で行うことを使用者から義務付けられたときは、その行為は使用者の指揮命令下に置かれたものと評価できるとするもの

・ 午前八時の始業時刻に着替えをはじめたとして、会社が賃金カットしたことについて、従業員は会社から作業服などの装着を義務付けられていたとして、着替え時間を労働時間に含まれるとし、カット分の支払いを命ずる原判決を支持するもの。
(最高裁一小判決 平12.3.9 労判778・6)

 

(2)仮眠時間

仮眠時間に@仮眠時間中は、勤務が免除されている、電話や警報で起こされて、緊急事態に対応する必要のない時間については、労働時間として取り扱う必要はありません。
A仮眠時間が待機時間であり、電話や警報で直ちに対応をすることが義務付けられており、現実に対応することがあるという場合は、労働時間として取り扱わなくてはなりません。

大星ビル管理事件の最高裁判決(別添)の判決要旨
一 労働者が実作業に従事していない仮眠時間であっても、労働契約上の役務の提供が義務付けられていると評価される場合には、労働からの解放が保障されているとはいえず、労働者は使用者の指揮命令下に置かれているものであって、労働基準法三二条の労働時間に当たる。
二 ビル管理会社の従業員が従事する泊り勤務の間に設定されている連続七時間ないし九時間の仮眠時間は、従業員が労働契約に基づき仮眠室における待機と警報や電話等に対して直ちに相当の対応をすることを義務付けられており、そのような対応をすることが皆無に等しいなど実質的に上記義務付けがされていないと認めることができるような事情も存しないなど判示の事実関係の下においては、実作業に従事していない時間も含め全体として従業員が使用者の指揮命令下に置かれているものであり、労働基準法三二条の労働時間に当たる。

判決要旨の1だけ読めば、労働契約上の役務の提供が義務付けられていると評価される仮眠時間は労働時間であるという判断になるが、判決要旨2は、警報や電話等に対して直ちに相当の対応をすることを義務付けられているが、そのような対応をすることが皆無に等しいなど実質的に上記義務付けがされていないと認めることができるような事情があれば、労基法32条の労働時間には該当しないことになると示している。
したがって、仮眠時間中に起こされて対応しているのか否かを調べることなく、それを労働時間であると断定することはできない。


2 労働時間、適正な管理

労働時間管理の適正化
始業・終業時刻の確認及び記録・・・なぜ確認、記録をしなければならないのか。 労働基準法第32条(1週40時間、1日8時間)、37条(割増賃金)などを守ろうとすれば、労働時間を把握せざるを得ないことになる。

労働時間は安全衛生管理と結びついている。長時間労働を漫然と行わせていると、労働災害や健康障害の発生の可能性が増し、安全配慮義務違反を問われることになる。・・・「過重労働による健康障害防止のための総合対策について」(平14.2.12 基発0212001号)

 

労働時間把握の方法は?

・使用者の現認:・使用者が、自ら現認することにより確認し、記録すること。

・タイムカード。ICカード等の客観的な記録による確認、タイムカード、ICカード等にはIDカー

ド、パソコン入力等が含まれる。

 

労働時間の自己申告制は例外。では、どんな場合は認められるのか。

認められる場合

認められる理由;業務の進め方、労働時間配分について一律的な管理が困難であると考えられるため
フレックスタイム制
企画、研究、開発
営業部門等
認められない場合 上記以外の、製造、事務、販売部門等

 

自己申告制により、確認・記録を行う場合の措置

自己申告制を導入する前に、対象労働者に、労働時間を正しく記録すること、適正に自己申告することについて十分な説明をする。
自己申告した労働時間と実際の労働時間が合っているかどうか、実態調査をする。
労働時間の適正な申告を阻害するために、時間外労働の上限を設定するなどしない。
時間外労働を減らすための社内通達や時間外手当の定額払い等が労働者の労働時間の自己申告を阻害することになっていないかどうか確認する。阻害要因となっている場合は改善する。

 

3 労働時間と管理監督者〜労働基準法第41条第2号の管理監督者とは何か

管理監督者の定義

労働基準法第41条は、「監督若しくは管理の地位にあるもの(いわゆる「管理監督者」)」について、労働時間、休憩および休日に関する規定の適用の除外を認めていますから、管理監督者に労基法上の時間外割増・休日割増賃金の支払いは不要です。ただ、「管理職」イコール「管理監督者」といえるかというと、必ずしもそうでありません。

管理監督者の範囲について、行政通達は次のようにいっています。

【監督又は管理の地位にある者の範囲】

・・・「監督もしくは管理の地位にある者」とは、一般的には部長、工場長等労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者の意であり、名称にとらわれず、実態に即して判断すべきものである。具体的な判断にあたっては、下記の考え方によられたい。

                                  記

(1) 原則

 法に規程する労働時間、休憩、休日等の労働条件は最低基準を定めたものであるから、この規制の枠を超えて労働させる場合には、法所定の割増賃金を支払うべきことは、すべての労働者に共通する基本原則であり、企業が人事管理上あるいは営業政策上の必要等から任命する職制上の役付者であればすべてが管理監督者として例外的取扱いが認められるものではないこと。

(2) 適用除外の趣旨

 これらの職制上の役付者のうち、労働時間、休憩、休日等に関する規制の枠を超えて活動することが要請されざるを得ない、重要な職務と責任を有し、
現実の勤務態様も、労働時間等の規制になじまないような立場にある者に限って管理監督者として法第41条による適用の除外が認められる趣旨であること。従がって、その範囲はその限りに、限定しなければならないものであること。

(3) 実態に基づく判断


 一般に、企業においては、職務の内容と権限等に応じた地位(以下「職位」という。)と、経験、能力等に基づく格付(以下「資格」という。)とによって人事管理が行われている場合があるが、管理監督者の範囲を決めるに当たっては、かかる資格及び職位の名称にとらわれることなく、職務内容、責任と権限、勤務態様に着目する必要があること。

(4) 待遇に対する留意


 管理監督者であるかの判定に当たっては、上記のほか、賃金等の待遇面についても無視し得ないものであること。この場合、定期給与である基本給、役付手当等において、その地位にふさわしい待遇がなされているか否か、ボーナス等の一時金の支給率、その算定基礎賃金等についても役付者以外の一般労働者に比し優遇措置が講じられているか否か等について留意する必要があること。なお、一般労働者に比べ優遇措置が講じられているからといって、実態のない役付者が管理監督者に含まれるものではないこと。

(5) スタッフ職の取扱


 法制定当時には、あまり見られなかったいわゆるスタッフ職が、本社の企画、調査等の部門に多く配置されており、これらスタッフの企業内における処遇の程度によっては、管理監督者と同様に取扱い、法の規制外においても、これらの者の地位からして特に労働者の保護に欠けるおそれがないと考えられ、かつ、法が監督者のほかに、管理者も含めていることに着目して、一定の範囲の者については、同法第41条第2号該当者に含めて取扱うことが妥当であると考えられること。
(昭22.9.13基発第27号、昭63.3.14基発第150号)

 

具体的には、

経営方針の決定に参画しまたは労務管理上の指揮権限を有しているか、
出退勤について厳格な規制を受けず自己の勤務時間について自由裁量を有する地位にあるか否か、
職務の重要性に見合う十分な役付手当等が支給されているか否か、
定期給与、賞与について一般労働者に比べて優遇措置が講じられているか否か等
が判断のポイントになります。

各社の実態としては「課長」以上を管理監督者として扱っている例が多いようですが、必ずしも、法的に妥当でない場合もあります。
課長について管理監督者でないとした裁判例に、
関西事務センター事件
「監督管理者とは、従業員の労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的立場にある者をいうと解すべきところ、課長に就任したことによって原告が従業員の労務管理等について何らかの権限を与えられたとの主張立証はなく、役職手当が支給されたり・・・多少の優遇措置が採られるようになったことは認められるものの、これらのみでは、原告が右監督管理者に該当するとはいい難い」(平11.6.25 大阪地判 事件番号:平成10年(ワ)867、平成10年(ワ)1200 労判769号39頁)
サンド事件
「原告は、被告課長に昇進後は、被告大阪工場内の人事等にも関与したが、独自の決定権を有していたものではなく、上司を補佐し、上司から与えられた仕事をこなしていた域を出ないものであって、被告の重要事項についての決定権限はなかったこと・・(中略)・・その職務内容(質及び量)・給料・勤務時間の取扱等について、右課長昇進前後でほとんど差異がなかった」のだから、「労働基準法41条2号所定の管理監督者には該当しない」とする(昭58.7.12 大阪地判 事件番号:昭和56年(ワ)6733 労判414号63頁) 
静岡銀行事件
銀行本店の調査役補について、出退勤管理をうけ部下の人事、銀行の機密に関与せず、上司の手足となって部下を指導育成したに過ぎなく、経営者と一体となって銀行経営を左右するような仕事には全く携わっていないことから本条の管理監督者にあたらないとしたもの(静岡地判昭53・3・26 事件番号:昭和50年(ワ)234 昭和50年(ワ)308 労判297号39頁)

こうした判断基準や判例に照らして、管理監督者に該当しない場合は、使用者側に対し時間外・休日労働の割増賃金の支払いを求めることもできます。

労働時間の適性な把握のために使用者が講ずべき措置について

  労働基準法においては、労働時間、休日、深夜業等について規定を設けていることから、使用者は、労働時間を適性に把握するなど労働時間を適切に管理する責務を有していることは明らかである。
しかしながら、現状をみると、労働時間の把握に係る自己申告制(労働者が自己の労働時間を自主的に申告することにより労働時間を把握するもの。以下同じ)の不適正な運用に伴い、割増賃金の未払いや過重な長時間労働といった問題が生じているなど、使用者が労働時間を適切に管理していない状況もみられるところである。
こうした中で、中央労働基準審議会においても平成12年11月30日に「時間外・休日・深夜労働の割増賃金を含めた賃金を全額支払うなど労働基準法の規定に違反しないようにするため、使用者が始業、終業時刻を把握し、労働時間を管理することを同法が当然の前提としていることから、この前提を改めて明確にし、始業、終業時刻の把握に関して、事業主が講ずべき措置を明らかにした上で適切な指導を行うなど、現行法の履行を確保する観点から所要の措置を講ずることが適当である。」との建議がなされたところである。
このため、本基準において、労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置を具体的に明らかにすることにより、労働時間の適切な管理の促進を図り、もって労働基準法の遵守資するものとする。

1.適用の範囲
  本基準の対象事業場は、労働基準法のうち労働時間に係る規定の全部又は一部が適用される全ての事業場とすること。
また、本基準に基づき使用者(使用者から労働時間を管理する権限の委譲を受けた者を含む。以下同じ)が労働時間の適正な把握を行うべき対象労働者は、いわゆる管理監督者及びみなし労働時間制が適用される労働者(事業場外労働を行う者にあっては、みなし労働時間制が適用される時間に限る)を除くすべての者とすること。
なお、本基準の適用から除外する労働者についても、健康確保を図る必要があることから、使用者において適正な労働時間管理を行う責務があること。
2.労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置
(1) 始業・終業時刻の確認及び記録
  使用者は、労働時間を適正に管理するため、労働者の労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、これを記録すること。

(2) 始業・終業時刻の確認及び記録の原則的な方法
  使用者が始業・終業時刻を確認し、記録する方法としては、原則として次のいずれかの方法によること。
  ア 使用者が、自ら現認することにより確認し、記録すること。
  イ  タイムカード、ICカード等の客観的な記録を基礎として確認し、記録すること。

(3) 自己申告制により始業・終業時刻の確認及び記録を行う場合の措置
上記(2)の方法によることなく、自己申告制によりこれを行わざるを得ない場合、使用者は、次の措置を講ずること。
ア  自己申告制を導入する前に、その対象となる労働者に対して、労働時間の実態を正しく記録し、適正に自己申告を行うことなどについて十分な説明を行うこと。
イ  自己申告により把握した労働時間が実際の労働時間と合致しているか否かについて、必要に応じて実態調査を実施すること
ウ  労働者の労働時間の適正な申告を阻害する目的で時間外労働時間数の上限を設定するなどの措置を講じないこと。また、時間外労働時間の削減のための社内通達や時間外労働手当の定額払等労働時間に係る事業場の措置が、労働者の労働時間の適正な申告を阻害する要因となっていないかについて確認するとともに、当該要因となっている場合においては、改善のための措置を講ずること。

(4) 労働時間の記録に関する書類の保存
労働時間の記録に関する書類について、労働基準法第109条に基づき、3年間保存すること。

(5) 労働時間を管理する者の職務
事業場において労務管理を行う部署の責任者は、当該事業場内における労働時間の適正な把握等労働時間管理の適正化に関する事項を管理し、労働時間管理上の問題点の把握及びその解消を図ること。

(6) 労働時間短縮推進委員会等の活用
事業場の労働時間管理の状況を踏まえ、必要に応じ労働時間短縮推進委員会等の労使協議組織を活用し、労働時間管理の現状を把握の上、労働時間管理上の問題点及びその解消策等の検討を行うこと。

 

賃金不払残業の解消を図るための措置等に関する指針(一部)

3 労使が取り組むべき事項

(1) 労働時間適正把握措置基準の遵守

労働時間適正把握基準は、労働時間の適正な把握のための使用者が講ずべき具体的措置等を明らかにしたものであり、使用者は賃金不払残業を起こすことのないようにするために、労働時間適正把握基準を遵守する必要がある。
また、労働組合にあっても、使用者が適正に労働時間を把握するために労働者に対して労働時間適正把握基準の周知を行うことが重要である。

(2) 職場風土の改革

賃金不払残業の責任が使用者にあることは論を待たないが、賃金不払残業の背景には、職場の中に賃金不払残業が存在することはやむを得ないとの労使双方の意識(職場風土)が反映されている場合が多いという点に問題があると考えられることから、こうした土壌をなくしていくため、労使は、例えば次のような取組を行うことが望ましい。

1 経営トップ自らによる決意表明や社内巡視等による実態の把握

2 労使合意による賃金不払残業の撲滅の宣言

3 企業内又は労働組合内での教育

(3) 適正に労働時間の把握を行うためのシステムの整備

1 適正に労働時間の把握を行うためのシステムの確立 

賃金不払残業が行われることのないような職場を創るためには、職場において適正に労働時間を管理するシステムを確立し、定着させる必要がある。
このため、まず、例えば、出退勤時刻や入退室時刻の記録、事業場内のコンピュータシステムの入力記録等、あるいは賃金不払残業の有無も含めた労働者の勤務状況に係る社内アンケートの実施等により賃金不払残業の実態を把握して上で、関係者が行うべき事項や、手順等を具体的に示したマニュアルの作成等により、「労働時間適正把握基準」に従って労働時間を適正に把握するシステムを確立することが重要である。
その際に、特に、始業及び終業時刻の確認及び記録は使用者自らの現認又はタイムカード、ICカード等の客観的な記録によることが原則であって、自己申告制にとるのはやむを得ない場合に限られるものであることに留意する必要がある。

2 労働時間管理のための制度等の見直しの検討

必要に応じて、現行の労働時間管理のための制度やその運用、さらには仕事の進め方も含めて見直すことについても検討することが望まれる。特に、賃金不払残業の存在を前提とする業務遂行が行われているような場合には、賃金不払残業の温床となっている業務体制や業務指示の在りかたにまで踏み込んだ見直しを行うことも重要である。
その際には、例えば、労使委員会において、労働者及び管理者からヒアリングを行うなどにより、業務指示と所定外労働のための予算額との関係を含めた勤務実態や問題点を具体的に把握することが有効と考えられる。

3 賃金不払残業の是正という観点を考慮した人事考課の実施

賃金不払残業の是正という観点を考慮した人事考課の実施(賃金不払残業を行った労働者も、これを許した現場責任者も評価しない。)等により、適正な労働時間の管理を意識した人事労務管理を行うとともに、こうした人事労務管理を現場レベルでも徹底することも重要である。

 

神戸元町労務管理サポート
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プロフィール

角森洋子
特定社会保険労務士・
労働衛生コンサルタント
(元労働基準監督官)

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