神戸元町労務管理サポート 社会保険労務士 角森洋子(元労働基準監督官)による就業規則作成、変更支援

就業規則作成・改善相談室

労働相談Q&A〜パートタイマー労働時間管理

労働相談 Q1 休憩時間
1 パートタイマーを雇用しているが、労働時間が短い場合でも休憩時間は与えなければならないか。本人が休憩時間はいらないと言った場合はどうなるか。

2 6時間を超えるという意味を知りたい。

A1 労働時間が6時間を超える場合は少なくとも45分、8時間を超える場合には少なくとも1時間の休憩を労働時間の途中に与えなければなりません。(労働基準法第34条)

                              

 労働時間が6時間を超えていれば、本人が「休憩時間はいらない」と言ったとしても適切な時間に休憩を与えなければいけません。

パートタイマーの1日の労働時間が6時間までなら休憩を全く与えなくても法律上は問題はありません。

しかし、労働時間が長くなると、作業能率は落ちるし、疲労が増すと労働災害が発生する率も高くなる傾向にあります。したがって、労働時間が6時間以下であっても、途中で短い休憩をとって気分転換をすることは必要です。

また、食事時間帯にかかる場合には食事をとる必要もあるので状況に応じた配慮は必要です。


A2 条文には「6時間を超える」と規定されているので、6時間は超えていないということになります。
6時間1分であれば6時間を超えることになります。

労働相談Q2 タイムカードによる労働時間の計算方法
 タイムカードによる労働時間の管理について相談したい。始業・就業時刻は各人によって異なっている。自分はパートタイマーなので時間給。支給される賃金が自分の計算よりも少ないのでタイムカードを見たところ、始業時刻の10分前に出勤しないと遅刻扱いになっていることがわかった。終業時刻については毎日1時間未満の端数が切り捨てられていた。これで良いのか。

A 
(1)始業時刻について 
 この場合タイムレコーダーがどこに置かれているのか、労働者の職場から遠いのか近いのか明らかになっていませんが、タイムカードを打刻してから始業までに通常どの程度の時間差があるものか明確にする必要があります。10分差し引かれることが妥当な取扱いか会社は説明しなければならないでしょう。例えば門の近くにタイムレコーダーがあって、作業場までかなりの距離があるという状況が想定されます。しかし、10分かかるというのはまれなことですし、そのような会社ならタイムレコーダーを作業場の近くに移転させるのが妥当な時間管理だといえます。もし、10分に合理性がなければこのような取扱いはやめなければならないということになります。

(2)終業時刻について
この場合、始業と同様に実際の就業時刻と打刻した時刻との差として一律1時間未満とするのは明らかに問題だといえるでしょう。

 時間外労働の計算方法としては、
 「1ヶ月における時間外労働の時間数の合計に1時間未満の端数がある場合に、30分未満の端数を切捨て、それ(30分)以上を1時間に切り上げることは、「常に労働者の不利になるものではなく、事務簡素化を目的としたものと認められるから、法第24条及び第37条の違反としては取り扱わない」(昭63.3.14基発第150号)

という行政解釈があります。タイムカードに打刻された時刻が基本的に始業・終業時刻となっているのか、労働実態とあった記録になっているのか明らかにしておく必要があります。

タイムカードにより、労働時間の確認・記録を行う場合、以下の点に注意する必要があります。

■タイムレコーダーは、できる限り労働者の職場に近い場所に備え付けること。
■必ず労働者本人が打刻すること。
■打刻は、労働者本人の始業時刻(出社時)及び終業時刻(退社時)に行うこと。
■タイムカードによる情報はあくまでも基本情報であり、他の記録などがある場合にはそれらの記録と併せて確認すること。

労働相談Q3 時間外及び休日労働
1日6時間のパートタイマーに1〜2時間残業させたい。割増賃金は必要か。休日は土日だが、日曜日に出勤させた場合どうなるのか。

A パートタイマーについても、労働条件通知書(雇い入れ通知書)、就業規則等に定めがあれば(すなわち時間外、休日労働をさせることについて契約があれば)、時間外・休日労働をさせることができます。

 所定労働時間が法定労働時間よりも短い場合であって実労働時間が8時間以内であれば、「時間外・休日労働に関する協定(36協定)」の締結や労働基準監督署長への届出がなくても、労働基準法違反とはなりません。また、法定休日(毎週1日または4週間を通じて4日付与することが必要)以外の休日に労働させる場合も、上記時間外労働同様に特に労働基準監督署に対する届出は必要ありません。

法定労働時間を越えて労働させる場合および法定休日に労働させる場合にあっては、36協定の締結・届出が必要であり、かつ、その時間の労働に対しては割増賃金の支払いが必要です。
ただし、「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律」(パートタイム労働法)に基づく、「事業主が講ずべき短時間労働者の雇用管理の改善等のための措置に関する指針」は、パートタイム労働契約の性質上、できるだけパートタイマーに時間外または休日労働をさせないよう求めています。・・・パートタイム労働指針第3、1(3)

参考
パートタイム労働指針第3、1(3)
イ 事業主は、短時間労働者の労働時間及び労働日を定め、又は変更するに当たっては、当該短時間労働者の事情を十分考慮するように努めるものとする。
ロ 事業主は、短時間労働者について、できるだけ時間外労働を超えて、又は所定労働日以外の日に労働させないように努めるものとする。

労働相談 Q4 二重就業の時間管理
パートタイマーが当社での勤務終了後に、別の会社で働いています。このような場合の時間管理はどのようにすればいいのでしょうか。時間外労働があった場合に割り増し賃金はどこが支払うのか。

A 労働基準法第38条では、
「労働時間は、事業場を異にする場合においても労働時間に関する規定の運用については、通算する。」
と定めています。ここで「事業場を異にする」とはどのような意味かというと、、甲事業場で労働した後に乙事業場で労働することをいいます。この場合、同一事業主に属する異なった事業場において労働する場合のみでなく、事業主を異にする事業場において労働する場合も含まれます。

【事業場を異にする場合の意義】
 本条(注:労働基準法第38条)において「事業場を異にする場合においても」とあるがこれを事業主を異にする場合も含むと解すれば個人の側からすれば1日8時間以上働いて収入を得んとしても不可能となるが、・・・」

 「事業場を異にする場合」とは事業主を異にする場合も含む。・・・
(昭23.5.14基発第69号)

 時間外労働をさせるときに、36協定の締結・届出の手続を行い、割増賃金を支払うのは、どの事業主が義務を負うのかということについては、ケースバイケースで簡単には決められません。厚生労働省の解釈例規では、1日の内で後の方の時間帯において当該労働者を使用した事業主がそれらの義務を負うとしています。

【二以上の事業に働く場合の時間外割増賃金】
 二以上の事業主に使用され(労働関係ありとする)その通算労働時間が8時間を超える場合割増賃金は如何に処置したらよいか。

 法定時間外に使用した事業主は法37条に基づき、割増賃金を支払わなければならない。(昭23.10.14 基収217号) 

 しかし『労働基準法 上』(厚生労働省労働基準局編 平成22年改訂 釜J務行政)p530によれば、
「・・・この場合、時間外労働についての法定の手続をとり、また割増賃金を負担しなければならないのは、右の甲乙いずれの事業主であるかが問題となるが、通常は、当該労働者と時間的に後で契約を締結した事業主と解すべきであろう。けだし、後で契約した事業主は、契約の締結に当たって、その労働者が他の事業場で労働していることを確認したうえで契約を締結すべきであるからである。」といっています。

 さらに、但し書きで、
「甲事業場で4時間、乙事業場で4時間働いている者の場合、甲事業場の使用者が労働者がこの後乙事業場で4時間働くことを知りながら労働時間を延長するときは、甲事業場の使用者が時間外労働の手続を要するものと考えられる。すなわち、「その労働者を一定時間以上使用することにより、時間外労働をさせることとなった使用者が違反者となる。必ずしも一日のうちの後の時刻の使用者でもないし、また後から雇入れた使用者でもない。」(有泉亨「労働基準法」283頁)

 以上を総合すると、
1 1日の内で後の方の時間帯において当該労働者を使用した事業主がそれらの義務を負う。
2 当該労働者と時間的に後で契約を締結した事業主と解すべきである。
3 甲事業場の使用者が労働者がこの後乙事業場で4時間働くことを知りながら労働時間を延長するときは、甲事業場の使用者が時間外労働の手続を要するものと考えられる。すなわち、「その労働者を一定時間以上使用することにより、時間外労働をさせることとなった使用者が違反者となる。

という三つの考え方があるということになります。
さらに、労働者の就労状況について正確に把握するにはどうすればよいかという問題もあります。このような問題を避ける方法としては就業規則に二重就職の制限をする規定を設けておくことが考えられます。上記いずれの方法で割増賃金を払うかという結論は別にして、労働時間管理はそれぞれの事業主が責任をもって行う必要があるでしょう。

就業規則規定例

(二重就職の禁止)
第○○条 パートタイマーは、会社の承認を受けないで、在籍しているままでほかの会社に入社したり、ほかの仕事をしてはならない。


労働相談Q5 腰痛予防と休憩時間
ゴルフ場のポーターをしていたが、姿勢が悪いという理由で解雇されましたます。勤務時間は13時から19時までで休憩時間はありません。休憩がないので、疲れて姿勢も悪くなります。休憩を取らせる義務はないのでしょうか。

A 労働時間が6時間なので、休憩を取らせる義務はありません。詳細はQ1を参照のこと。
しかし、「腰痛対策指針」で、重量物取扱い作業においては、適宜、小休止・休息を取らせることが望ましいとされているので、自由利用はできない休息を取らせる必要があったと考えられます。

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プロフィール

角森洋子
特定社会保険労務士・
労働衛生コンサルタント
(元労働基準監督官)

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