神戸元町労務管理サポート 社会保険労務士 角森洋子(元労働基準監督官)による就業規則作成、変更支援

就業規則作成・改善相談室

労働相談Q&A 〜就業規則*

Q1 就業規則の変更について、労働者の代表はどうやって選んだらいいのでしょうか。以前は会社で決めていました。それではいけないと聞きましたが。 

A 労働者の過半数代表者の選任については、厚生労働省の解釈例規で示されています。それによると次の要件のいずれも満たす必要があります。

1 労働基準法第41条第2号に規定する監督又は管理の地位にある者(いわゆる管理・監督者)ではないこと。

2 就業規則の作成・変更にあたって、使用者から意見を聞かれる者を選出することを明らかにして実施する投票、挙手等の方法により選出された者であり、使用者の意向によって選出された者でないこと。


【労働者の過半数代表者の要件】
次のいずれの要件も満たすものであること。
1 労働基準法第41条第2号に規定する監督又は管理の地位にある者でないこと。
2 法に基づく労使協定の締結当事者、就業規則の作成・変更の際に、使用者から意見を聴取される者等を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法による手続により選出された者であり、使用者の意向によって選出された者ではないこと。
(平11.1.29基発45号「労働基準法解釈例規」厚生労働省労働基準局編 第10版 平成14年)

  

「投票、挙手等」の等については、労働者の話合い、持ち回り決議等過半数の支持を得ていることが明確になる民主的な手続きをいう。

【労働者の過半数代表者の選出手続】
問 則第6条の2に規定する「投票、挙手等」の「等」には、どのような手続が含まれているか。
答 労働者の話合い、持ち回り決議等労働者の過半数が当該者の選出を指示していることが明確になる民主的な手続きが該当する。
(平11.3.31 基発169号「労働基準法解釈例規」厚生労働省労働基準局編 第10版 平成14年)

  
就業規則作成作成・変更の手引きのポイント14参照

Q2 会社から監督署に就業規則の届出がされていると思う。労働者が会社に対して就業規則を見せてほしいと言ったら見せてもらえるのか。会社に見せてほしいと言ったら、目を付けられていづらくなる恐れがあるので、どうしたらよいか困っている。

A 就業規則は、労働者に周知し、いつでも見られる状態にしておく必要があります。(労働基準法第106条)周知の方法としては、以下の3つの方法があります。

1 労働者の一人ひとりに就業規則を配布する。
2 各職場の見易い場所に掲示するか、あるいは労働者がいつでも見ることができるような場所に備え付ける。
3 就業規則を磁気テープ、磁気ディスク、その他これらに準ずるものに記録し、各作業場に当該記録の内容を常時確認できる機器を設置し、労働者が必要なときに容易に見ることができるようにしておく。

したがって、見せないということは、使用者が労働基準法上の義務を怠っていることになります。また、就業規則によって使用者は

「1 労働者を組織し、職場秩序を多数の労働者の労働条件を統一的・画一的に処理することができ、労使間の権利・義務を明確にして、無用の紛争を防止することができる。
2 多数の労働者の労働条件を、統一的・画一的に処理することができる。」(外井浩志 『就業規則の知識〈新版〉』日経文庫 2002年 p13〜14)

という、就業規則の利点を放棄してしまっていると言えます。

どうしても見せてもらえない状況なら、所轄労働基準監督署に相談してみましょう。就業規則の届出がされているのならば、「就業規則閲覧申請書」を提出することで閲覧することは可能です。

Q3 就業規則を作成して届出しなかったらどうなりますか。その規則は有効ですか。また、労働者に全く周知しなかった場合はどうなりますか。

A 届出は行政取締り上の義務にすぎないので、使用者が労働基準監督署長への届出義務を怠った場合でも、就業規則は有効です。

就業規則が存在しても、それが全く知られていない、知ろうとしても知ることのできない状態にある場合は就業規則は無効と考えられます。

全く周知されていない就業規則についての裁判例

・「使用者が労働者を懲戒するには,あらかじめ就業規則において懲戒の種別及び事由を定めておくことを要する」とするもの。
・「就業規則が法的規範としての性質を有するものとして,拘束力を生ずるためには,その内容を適用を受ける事業場の労働者に周知させる手続が採られていることを要するものというべきである。」とし、(労働者に周知させる手続が採られていることを認定しないまま,旧就業規則に法的規範としての効力を肯定し,本件懲戒解雇が有効であると判断した)原審判決を破棄差戻すもの。

フジ興産事件(最高裁第2小平成15.10.10 労判861・5 )
(株)A社の設計部門のあるセンターに勤務していた労働者が、得意先の要望に十分応じずトラブルを発生させたり、上司に暴言を吐くなどとして職場の秩序を乱したことなどを理由に、約2ヵ月前に実施された新就業規則の懲戒規定(労基署への届出がなされたのは本件解雇の直前であり、それ以前にA社の労働者に同規則が周知されたという証拠はない)に基づき、懲戒解雇されたため、A社の当時の取締役Y1、Y2、Y3に対し、違法な懲戒解雇の決定に関与したとして、民法709条(不法行為)、商法266条の3に基づき損害賠償を請求したケースの上告審(最高裁)で、原審は、一審の結論と同様、新就業規則について労働者の同意を得た日以前のXの行為については、同規則と同内容の旧就業規則上の懲戒解雇事由該当性を検討するとしたうえで、旧就業規則は労働者の同意を得て制定・届出された事実が認められる以上、これがセンターに備え付けられていなかったとしても、センター勤務の労働者に効力を有しないとはいえないとし、かかる旧就業規則の懲戒解雇事由が存在するXの本件懲戒解雇を有効としたが、最高裁は、懲戒処分には就業規則上の根拠規定が必要であるところ、就業規則が法的規範として性質を有するものとして拘束力を生ずるためには、適用をうける事業場の労働者への周知手続が採られていることを要するとし、この点についての認定をしないまま懲戒解雇が有効であるとした原審の判断は違法であるとして、上記の点等についてさらに審理をつくさせるため、原審を破棄差戻した事例。
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プロフィール

角森洋子
特定社会保険労務士・
労働衛生コンサルタント
(元労働基準監督官)

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